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一般講演 P2-037

ミミズのC:N:P化学量比と生活型との関係

*川口達也, 金子信博, Robert J. Blakemore(横国大院・環境情報), Nikita Eriksen-Hamel (McGill University, CANADA)

ミミズは土壌生態系の環境を改変し、微生物やその他の土壌生物の挙動に大きな影響を持つ。ヨーロッパのツリミミズ科ミミズ同様、日本に生息するフトミミズ科ミミズにおいても、地表面の分解途中のリターを食べる表層性種、地中に坑道を掘って住み、有機物に富む鉱質土壌を食べる地中性種、地中に坑道を掘って住み、地表面の分解途中のリターを土壌中に引き込み、土と混ぜて食べる表層摂食地中性種という3つの生活型がある。表層性種は一年生であり、春先にふ化、夏に成熟して繁殖可能になり、秋には死滅する。地中性種や表層摂食地中性のものは、幼体や成体で越冬し、夏に繁殖をおこなっている。全ての生物の体を構成するC, N, Pは、生産性、栄養塩の循環、食物網の構造に影響を及ぼす。また、生物群ごとに一定の化学量を持つ。プランクトンでは、タンパク質(N豊富)を合成するために、リボゾームRNA(P豊富)の生産が盛んになるため、N:P比が低い場合に生長が速い(成長速度仮説)。これらの考えを用い、ミミズ自体と餌質の化学量比のギャップから、ミミズが栄養塩循環に与える影響を評価できる可能性がある。本研究ではカナダ (マックギル大学研究農場)と日本(北海道大学苫小牧研究林、東北農業研究センター附属農場、茨城大学附属農場、横浜国立大学構内、琉球大学与那フィールド)で採取されたミミズ(表層性種3種、地中種2種、表層摂食地中種2種)について化学量を測定した。ミミズはC:N:P比をほぼ一定に保っており、生活型ごとに比が異なる傾向が得られた。成熟するまでの期間が短い表層性種ではN:P比が最も低く、ミミズにおいてもN:P比が成長速度と関連していることが示唆された。

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