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一般講演 P2-044

根呼吸の貢献度に着目した遷移段階の異なる森林における土壌呼吸速度の空間的不均一性の解明

*高橋健太(茨城大・理), 廣田充(筑波大・生命環境科学), 早瀬進, 根岸正弥, 大塚俊之(茨城大・理)

森林生態系は大きな炭素プールを持つことから、その炭素動態が注目されている。特に土壌から放出されるCO2量(土壌呼吸速度)については多くの研究がある。植物根の呼吸と従属栄養生物の呼吸の和で表される土壌呼吸は、植生や土壌環境に依存して時空間的変動を見せる。短い時間スケール(日〜季節変化)での土壌呼吸の変動は、土壌環境の変化が影響しているということが明らかにされている。一方で、遷移のような長い時間スケールでの土壌呼吸の変動については、同時に評価するということが困難なことから明らかにされていない。遷移の進行によって植生やその環境が変化することから、この植生の変化が土壌呼吸の変動に影響を及ぼすと考えられる。そこで本研究では、遷移段階の異なる森林を対象として、植生の違いに着目して土壌呼吸を比較することを目的とした。遷移の進行によって植物体地下部の種組成や量が変化し、植物根の呼吸量も変化することが予測され、土壌呼吸とその中の根呼吸の貢献度にも注目して研究を行った。

調査は筑波大学菅平実験センターで行った。同センターには、異なる遷移段階にある林分が同じ平地上に隣接している。ここに遷移段階の異なる森林を3サイト(アカマツ若齢林、成熟林、アカマツ・ミズナラ混交林)設置した。土壌呼吸は、各サイトでチャンバーを10ケ所設置し、密閉法で測定した(8、9、10、11月の計4回)。植物の根呼吸量を推定するために、チャンバー内の土壌中にある植物根を採取し、土壌呼吸と植物根量の回帰式を作成した。土壌呼吸及び植物根量もサイト間で有意差は見られなかった。土壌呼吸量と植部根の量の関係は、アカマツ若齢林では正の相関が見られたが、他のサイトでは相関が見られなかった。

日本生態学会