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一般講演 P2-052

メソコスム水槽におけるアマモの生産量と枯死量

*細川真也(港空研),中村由行(港空研)

実海域に近い環境を創ることが可能なメソコスム水槽(6 m 2)を用い,2004年9月から2006年9月にかけてアマモの生育実験を行った.実験に用いたアマモは2004年2月に横須賀市走水海岸の天然アマモ場から採取し,200本のシュートをメソコスム水槽に移植した.実験条件として,潮汐(水深:0.5 m〜1.0 m,周期:12.4 hr)と波(波高:5 cm程度,周期:2 s)を与えた.海水は潮汐に伴い出入りさせ,かけ流し運転とした.光源は太陽光とした.

水槽内においては,水槽壁によって生じる陰や側壁に設けられた覗き窓からの太陽光の直射により光環境に分布が生じた.アマモのシュート密度は,観測期間を通じて,水槽壁の陰になりやすい場所において18.7±5.2本 m-2(平均±S.D.),覗き窓に接する場所において90.0±32.2本 m-2(平均±S.D.)であった.光が入射しやすい場所の方が平均,偏差ともに大きく,光がアマモのシュート密度変化に対して強く影響していることが示された.

アマモのシュート当りの葉の生長量は,光量(PAR)が同程度であった2006年3 - 5月と2006年8, 9月で比較すると,2006年3 - 5月の方が2倍程度大きかった.水温はそれぞれ13 - 19度と25度程度で変動しており,純生産量に及ぼす水温の影響の大きさが示された.シュート当りの葉の現存量(乾重量)も同様に,2006年3 - 5月の方が2006年8, 9月よりも2倍程度大きかった.

アマモの葉の相対生長量は,2005年7月から2006年9月において,1.2% - 3.4% d-1であった.一方,相対枯死量は0.0% - 5.6%であり,相対生長量よりも大きな季節変動を示した.

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