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一般講演 P2-106

岡山市北部における20年間の森林植生の変化

*石川 笑子(岡山理大院・総情・生地),波田 善夫(岡山理大・総情・生地)

岡山県の森林は薪炭林や用材林として強度に利用されて来た歴史を持っており、ほとんどが代償植生となっている。1970年頃から岡山県では松枯れ病が流行し、発達していたアカマツ群落に大きな被害を与えた。この為に森林植生は大きく変化した。本研究では、1988年に作成された植生図と2004年に作成した植生図を比較し、地質地域ごとに森林植生がどのように変化しているのか検討することを目的とした。

地形の特性を詳細に反映できるように25mDEMを作成した。DEMと「みんなでGIS」(小池、2005)より集水面積や傾斜角度などを計算し、その結果を植生図・地質図と重ね合わせて解析を行った。これにより、各植生の面積とその変化量、立地ごとの傾向を求めることができた。

全ての地質において北向きの斜面でアカマツ群落が減少し、コナラ群落が増加する傾向がみられた。松枯れ病の被害を受けたアカマツ群落は、日射量が多く、乾燥しやすい南向きの斜面ではアカマツ林として再生し、北向きの斜面ではコナラ群落として再生した林分が多かったと考えられる。森林植生の変化が最も大きかったのは山砂利層地域で、アカマツ群落が約25%減少し、コナラ群落が約14%増加していた。花崗岩地域でもアカマツ群落は約10%減少し、コナラ群落は約9%増加したが、森林植生の変化は最も小さかった。竹林は耕作地であった所に増加する傾向がみられた。また、竹林の増加は地質地域ごとに若干の差はあるが、水分条件が良く、日射量の多い緩やかな斜面で増加する傾向があり、地形の特性と関係があると考えられる。このように約20年間で森林植生は大きく変化しており、変化の傾向は地質地域ごとに異なっていた。

日本生態学会