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一般講演 P2-107
本研究は岡山県の蒜山地域の火入れ採草地において火入れの燃焼温度および地形が植生の分布にどのように影響するか明らかにすることを目的とした。調査は岡山県北部の蒜山地域の現在も毎年春に火入れの行われている火入れ採草地および火入れが放棄されて3年目の火入れ跡地(北向き斜面)で行なった。調査地は、火入れ地を「火入れ地南向き・尾根」「火入れ地南向き・谷」「火入れ地北向き・尾根」「火入れ地北向き・谷」の4か所の地形、火入れ跡地を「3年目・尾根」「3年目・谷」の2か所の地形に区分し、各地形において上部、中部、下部の斜面位置の違いについても結果を比較した。2006年4月に火入れ地において火入れが行われ、その際に燃焼温度と燃焼前のバイオマスの刈取りおよび測定を行なった。2006年9月から11月にかけて、各斜面ごとにササとススキの植被率および植生高を測定した。また、ササとススキの調査区内に出現した亜高木性樹種および高木性樹種の稚樹について樹種を同定し、樹幹長と樹齢を測定した。さらに、全調査区において斜度測定を行なった。その結果は、燃焼温度は斜面の上部から下部に向けて高くなる傾向があり、クリやコナラは燃焼温度の比較的低い斜面の上部や中部に多く出現していた。ススキの植被率は、急な尾根斜面よりも緩やかな谷斜面で高い値を示す傾向がみられたが、ササは斜度や尾根と谷の違いによる大きな違いがみられなかった。また、ススキとササをあわせた植被率が高い場所ほどクリとコナラの出現率が低く、草本およびササがクリやコナラの分布に与える影響も示唆された。