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一般講演 P2-127

北海道胆振地方のコナラ優占林における林分構造の南北斜面間の差異

*中山俊聡,並川寛司(北教大・札幌・生物)

北海道の苫小牧地方に分布するコナラ優占林において,斜面方位の違いに応じた主要樹種の分布および林分構造の違いを明らかにするため,対象林分に北東−南西方向に矩形(50 m×200 m)の調査区を設定した.調査区内の高さ2 m 以上の樹木個体を対象に,毎木調査と個体分散図の作成を行った.また,レベル測量により調査区の地形も記載した.

調査区の地形をみると,調査区の長軸に対し垂直な方向に谷が走り,谷を介して南西斜面と北東斜面が向かいあう地形を呈していた.調査区を10 mのグリッドに細分し,各グリッドの方位を8方位で求めた.ここでは,南と南西斜面を南斜面,北と北東斜面を北斜面と定義し(西,東斜面についても同様),同一方位のグリッドをまとめて林分構造を比較した.なお,比較的グリッド数の多い北斜面と南斜面に限って比較を行った.

北斜面の個体密度(中央値23.5本/100 m2)は南斜面(19.5)に較べ有意に大きい値を示したが(U‐検定),胸高断面積では差がなかった(北斜面0.28 m2/100m2,南斜面0.27).総合優占度で上位の高木種3種(コナラ,ミズナラ,イタヤカエデ)の密度を比較すると,コナラは北斜面(6本/100 m2)で南斜面(8)よりも有意に低い密度を示したのに対し,イタヤカエデは北斜面(3)で南斜面(0)よりも有意に高い密度を示した.ミズナラでは差が認められなかった(北斜面3,南斜面2).胸高断面積を種別に比べた場合,種を込みにした時と同様,南北斜面間で差がなかった.

出現種数は北斜面全体で31種に対し,南斜面19種であった.グリッド毎の平均種数は北斜面6.3に対し,南斜面5.0であった.これらの数値からβ多様度を求めると,北斜面4.9,南斜面3.8となり,北斜面では南斜面に比べてグリッド間の樹種構成の違いが大きかった.

日本生態学会