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一般講演 P2-128
ユーラシア大陸中央部には温帯草原(ステップ)が広がっており、近年この草原生態系は過放牧・過耕作などによって沙漠化の危険にさらされている。中国内蒙古自治区の一部の地域ではすでに深刻な被害が生じており、草原生態系劣化の実態把握および持続可能な利用方法の開発が急務となっている。そこでモンゴル草原の中部・北東部、および中国内蒙古自治区フロンバイル草原において植物群落の種組成を調査した。調査は枠法を用い、枠内に生育していた各植物種の被度・最高草丈・出現頻度から沼田の積算優占度SDR3を求めた。モンゴル草原は2005年7月、内蒙古草原は2006年7月に調査を行なった。モンゴル草原群落の優占種は地点によってStipa属(イネ科ハリガヤ属)3種に分かれ、調査した8地点43枠中に73種(うち未同定種5種)が生育していた。内蒙古フロンバイル草原群落の優占種は4地点でStipa klylovii、3地点でLeymus chinensis(イネ科)、もっとも退行の激しい1地点ではAllium polyrhizum(ユリ科ネギ属)であった。調査した8地点61枠中に99種(うち未同定種4種)が生育していた。両草原の共通種数は34種で、そのうち両草原のほぼ全調査地に生育していた種は5種であった。両草原とも過放牧な立地ほど生育種数が少ない傾向があったが、モンゴルでは禁牧柵内よりも放牧地のほうが生育種数の多い場所もあった。