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一般講演 P2-134
目的:信州大学AFC野辺山ステーション内には絶滅危惧II類のサクラソウPrimula sieboldiiが自生する湿生群落や、絶滅危惧IB類のアサマフウロ等が自生する乾生群落がある。本研究では種組成および群落構造、立地環境を調査し、今後群落を保全するための植生管理を検討することを目的とした。
方法:2m方形区の調査プロットをP (36)、A(12)、B(18)、C(16)、D(8)、E(10)で計6サイト、計100プロット設置し、出現植物種、被度、群度、植物高を測定した。また土壌含水率および相対光量子密度を各プロット9点ずつ測定した。毎木調査は樹高130cm以上の個体の樹高と胸高直径を測定した。
結果:積算優占度(SDR2)を算出しTWINSPAN解析を行った結果、調査プロットは湿生群落P1とP2、乾生群落A、B、C、D、Eの計7群落型に分類された。相対光量子密度ではCとDがP1、P2、A、Bより有意に高く、土壌含水率では湿生群落型が乾生群落型より有意に高かった。帰化率ではA、B、C、Dが湿生群落より有意に高く、特にDは他の群落型よりも有意に高かった(Scheffe多重検定;p<0.05)。DCA序列化法の結果、第1軸(固有値0.450)では左から右へ乾生群落、湿生群落の順に配列され、土壌含水率において正の、相対光量子密度、帰化率、種数、植被率において負の相関があった(p<0.05)。各群落型の生活型組成はP1では地中植物の割合が高く、AとBでは木本層の割合が高かった。また1、2年生草本の構成種は湿生群落型と乾生群落型で異なった。各群落型の生育型組成ではA、B、Eにおいてミヤコザサ等の常緑低木の割合が高かった。毎木調査では単位面積あたりの胸高断面積合計およびD2HがAで最も高かった。