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一般講演 P2-181

都市緑地におけるノウサギの生息可否の決定要因

斎藤昌幸,小池文人(横浜国大・環境情報)

都市近郊では道路建設や宅地造成などの影響により,森林などの緑地が分断され,孤立して存在しており,生態系機能を大きく損なうようなネットワークの変質がもたされるという懸念がある.一方で,都市近郊にパッチ状に存在する孤立した緑地は,都市域に生息する生物たちにとっての貴重な生息空間であり,地域の生態系の維持には,彼らを保護・管理できるような緑地を維持していくことが重要である.

近年,都市域に生息する鳥類や昆虫類などは研究が盛んに行われているが,哺乳類に関する研究はネズミ類やタヌキ,ムササビ,ニホンリスなどを対象に行われているものの,研究例が少ない.また,哺乳類の環境選択に関する研究はいずれも微小な環境要因を検討している.しかし,都市近郊で哺乳類の保護・管理を行う場合,広いスケールでの環境要因を考慮することも必要である.そこで本研究では,緑地がないと生息できないと推察できるノウサギに着目し,彼らが都市近郊の緑地で生息できる要因を広いスケールの中で解明することを目的とした.

調査は東京都八王子市の高尾山麓から神奈川県横浜市の港湾にかけて広がる多摩丘陵で行った.緑地ごとにノウサギの在不在調査を行い,その在不在のデータを元にノウサギが生息できる緑地の条件を検討する.

日本生態学会