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一般講演 P2-185
科学に関する様々な情報を市民に伝達し、科学と社会の間のコミュニケーションを活性化するアウトリーチ活動の重要性が、近年認識されつつある。首都大学東京(東京都立大学)構内の松木日向緑地と呼ばれる二次林を紹介するガイドブックの製作プロジェクトを、生態学を学ぶ大学院生が立ち上げた。これまでに学んできた専門的な知識や経験を活かすことで、大学周辺の地域の方々に身近な自然への興味関心を持ってもらうことを目的とした。本発表では、ガイドブックの内容及びプロジェクトに対する大学院生の取り組みについて紹介する。
一般の方々を主な対象とし、中学生でも理解出来るような内容のガイドブックを目指した。ガイドブックは本学のある多摩丘陵の里山としての利用およびニュータウン開発による森林の分断化を紹介した「多摩丘陵の森林」、緑地内で見られる動植物の名前、形態および特徴を図鑑形式で記載した「緑地の生き物たち」、散策の手助けになるように生物の分布や観察ポイントを掲載した「散策マップ」を中心に構成した。さらに、緑地散策を楽しみながら学べるように「緑地内の食物連鎖」、「フィールドサイン」、「移入種問題」、「種子の散布様式」、および「緑地管理」などの話題をコラムや模式図で紹介した。また、大学で行われている実習および調査研究を紹介した「緑地の学術利用」、緑地を散策する上での「マナーと注意」を掲載した。地域情報誌などを通じてガイドブックを宣伝し希望者に配布する。配布後にはガイドブックを用いた観察会の実施を予定している。
本プロジェクトは文部科学省補助事業「魅力ある大学院教育」イニシアティブ『異文野経験を核とする独創的思考回路の構築』の一部として行われた。