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一般講演 P2-230

溜池における繁殖期のヨシゴイの採餌生態

*南保亜哉児,佐原雄二(弘前大・農学生命)

ヨシゴイは初夏に日本に飛来し,溜池などの抽水植物帯で繁殖する.各都府県(青森,埼玉,東京,京都など)のレッドデータブックに記載されており,生息数の減少が懸念されている種である.しかし,その研究例は内田・松田(1990)や上田(1992)などわずかであり,また調査地が特定の場所に限られている.

本研究は2005年および2006年の5月下旬から8月下旬に,青森県津軽平野内の溜池において,ヨシゴイの行動を日の出前から日の入り後まで観察した.さらに,池に入って巣を捜索し,ビデオカメラを設置して行動を記録した.

2年間で6つの溜池において合計11巣発見した.営巣植物はガマ(4巣),フトイ(3巣),ヒメガマ(2巣),マコモ(1巣),ヨシ(1巣)だった.いずれも巣の下は水だった.

発見した巣のうち2005年は4巣,2006年は3巣でビデオ観察を行った.餌内容は目視観察とビデオ観察の両方で確認でき,大部分がモツゴだったが,ドジョウやオタマジャクシと思われる餌もあった.

清棲(1972)や中村(1986)によると,ヨシゴイは夜行性とされている.しかし24時間にわたるビデオ撮影を育雛中に4回行った結果,いずれも夜間は雛を抱いたまま,巣外に出ず,給餌も行わなかった.よって,少なくとも繁殖している個体については,採餌は明るい時間帯に限られると思われる.

繁殖ステージを孵化期,巣内給餌期(雛が巣の中で給餌される期間),巣外給餌期(雛が巣の外で給餌される期間)に大きく分け,さらに各給餌期を前期と後期に分けた.5つのステージによって親の行動の変化を調べたところ,雛の成長にともなって帰巣回数と採餌回数は増加する傾向があったのに対し,巣滞在時間は減少した.以上から,雛の成長にともなって保護の必要性がなくなるとともに餌の要求量が増大したため,採餌に費やす時間が長くなっていったと考えられる.

日本生態学会