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一般講演 P2-232

ハラスメントのコストと雌の複数回交尾戦略

*桜井玄 (九大・生物),粕谷英一 (九大・生物)

交尾をするかしないかの決定において、雌と雄の利害が一致することはまれである。従って、雄と雌の間で、交尾の決定をめぐってコンフリクトが生じると考えられる。交尾の決定をめぐるコンフリクトの一つの例としては、雄による雌へのハラスメントがあげられる。多くの動物において、雌が雄の交尾の試みを受け入れないとき、雄は執拗なハラスメントによって雌に交尾をせまる。雌は雄からのハラスメントによってコストを被る可能性がある。本研究では、ハラスメントによって雌がどの程度、適応度の減少を経験するのかをアズキゾウムシ Callosobruchus chinensis の交尾不能雄を用いることで測定した。アズキゾウムシの雄の交尾器を切除すると、ハラスメントを行うが交尾はできない雄を作ることができる。この雄と同居した雌と、雄の直接的な影響を受けなかった雌の適応度とを比較して、ハラスメントが雌の適応度に与える影響を定量化した。雌はハラスメントによって適応度が有意に減少し、その減少幅は平均して約19%と大きかった。

また、複数回交尾という戦略が、雄のハラスメントを回避するために有効であるのかどうかを検証するために、いくつかの密度条件で、交尾不能雄と同居した雌と正常な雄と同居した雌の適応度を比較した。

日本生態学会