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一般講演 P2-238
陸生巻貝を主食とするオサムシでは、巨頭型・狭頭型を示す表現型の2型が広く一般的に知られている。巨頭型はその強靭な大顎で殻を壊すのに対し高いパフォーマンスを示す反面、殻の中に首を突っ込んで巻貝の軟体部を直接捕食する上ではその大きすぎる頭部が邪魔になってしまう。逆に、狭頭型は頭部・胸部が殻内部で自由に動くため首を突っ込んで捕食する上ではパフォーマンスが高いが、その細い頭部から殻を壊すだけの十分な力を生み出すことができない。このような機能的トレードオフが、貝食性オサムシにおける頭部胸部の形態的多様性を生み出しているのではないだろうか。本研究では上記の仮説を実証するために日本固有種の貝食性オサムシであるマイマイカブリを用い、さまざまな殻形態のカタツムリに対する捕食成功率を調べた。首が太いマイマイカブリは殻を壊す捕食行動において高い捕食成功を示したが、首が細いマイマイカブリは殻に首を突っ込む捕食行動において高い捕食成功を示した。これらの結果は、上記したトレードオフが巻貝と巻貝捕食者の形態的多様化に著しく関与している可能性を示唆している。