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一般講演 P2-251
生物の競争は、年齢差のない個体間だけでなく、年齢の異なる個体間でも起こる。個体間の年齢差がある場合、消費型や干渉型の競争に影響するならば、異なる年齢の個体間の競争結果は、同じ年齢の個体間でみられる競争結果と異なる可能性がある。ヨツモンマメゾウムシは豆に寄生する貯穀害虫であり世界中に広く分布する。成虫は豆の表面に卵を産み、幼虫は豆の内部で成長する。ヨツモンマメゾウムシの大部分の地理的系統において、豆内に日齢差のない2頭の幼虫がいると、幼虫が餌資源を分け合う共倒れ型の競争を行い、2頭の成虫が羽化する。雌が豆に産卵する時期のばらつきは、豆内部の幼虫間で日齢の違いを引き起こす。産卵時期のずれによって幼虫間で生じた日齢の差が幼虫間競争の結果に与える影響を調べるために、2卵つきの緑豆を、1回目と2回目の産卵の間に2時間、1、2、3、4日の時間間隔を空けて作成し、豆から羽化した成虫数と最初の産卵から成虫が羽化するまでの日数を調べた。
最初の産卵から2回目の産卵までの時間が長くなるにつれて、2頭の成虫が羽化する豆の割合は減少した。また、豆から1頭の成虫が羽化した場合、最初の産卵から羽化するまでの日数は産卵の時間間隔とともに長くなり、2回目に産卵された個体が羽化したことが示唆された。2回目に産卵された個体が羽化した豆を解剖したところ、豆内で死亡した個体の齢期は蛹期に集中していた。これらの結果から、日齢差のない幼虫間で共倒れ型の競争を示すヨツモンマメゾウムシの地理的系統において、産卵時期のずれによって幼虫間で生じた日齢の差は幼虫間競争の結果に影響し、先に産卵された幼虫の生存率が減少することが明らかになった。産卵の時間間隔に対して先に産卵された幼虫の生存率が減少する原因として、先に産卵されて蛹化した個体が後に産卵された幼虫に殺されることが示唆された。