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一般講演 P3-002

小笠原父島における捕食性陸生プラナリアの有無と土壌動物群集構造

*長谷川元洋(森林総研・木曽),杉浦真治(森林総研),伊藤雅道,八巻明香(横浜国大)大河内勇(森林総研)

小笠原父島において、固有種である陸生貝類の個体群が激減しており、その要因として、捕食性陸生プラナリアの一種、ニューギニアヤリガタウズムシ(以下ウズムシ)の侵入があげられている。一方で、ウズムシとその他の土壌性動物との関連性については、未だ不明な点が多い。この研究の目的は、ウズムシの存在と土壌動物群集との関係を明らかにすることである。今回は大型土壌動物の結果について報告する。

現在、小笠原父島では一部にのみ、ウズムシの侵入がなく固有種の陸生貝類の生存が確認されている地域があり、この地域に3サイト、その近辺のすでに固有種の陸生貝類が絶滅した地域に3サイト、さらに中央部の山地帯(固有種の陸生貝類は絶滅)に4サイト調査地を設けた。調査は2005年6月、11月の二回行った。大型土壌動物の調査では各サイト内に25mのラインを設け、5m毎に合計6ポイント採集した。各採集点において、25cmx25cmの枠を設定し、落葉層及び深さ15cmまでの土壌を採取し、ハンドソーティングにより2mm以上の土壌動物を採集した。

大型土壌動物のグループレベルでみた限りでは、ウズムシの侵入区と非侵入区において、大きな群集構造の差は見られず、現時点では、ウズムシの影響は、固有種の陸生貝類に対してのみ大きいと考えられた。一方、いずれのサイトにおいても、ミミズ類の個体数、バイオマスはかなり大きいという結果が得られた。ミミズ類の死体をウズムシが摂食することが報告されていることから、部分的に固有種の陸生貝類が絶滅してもウズムシは存続可能であり、固有種の陸生貝類の個体群の保護、再定着等の点において、注意が必要と考えられた。

日本生態学会