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一般講演 P3-005
流域の土地利用と底性生物群集との関係についての研究はいろいろな側面からなされているが、それらのほとんどは大スケールでの比較であったり、農地や草原と森林との間での底生生物群集を比較したものなど明らかに景観の異なる場所での比較であったりする。日本では山間部にまで人が定住しており、そのため同じ森林域であっても人間の定住による渓流への影響が存在すると考えられる。しかしながら、これらの山間部のみを対象にした底性生物群集の人為による影響はよく分かっていない。この研究では、15km間における底生生物群集の流程分布を渓畔土地利用との関係を見ながら解析した。調査地域は四万十川支流黒尊渓流の本支流。各調査地点において、5回、底生生物の定量採集を行った。採集した底生生物は80%アルコールにて固定し、その後同定を行った。個体数・属数は流程及び季節によって異なっていた。多様性には流程間の違いは見られなかったが、群集構造は流程及び季節によって異なっていた。また、人間の定住に伴う底生生物の群集構造の変化も見られた。しかし、人間の定住に伴う変化よりも支流・本流間の違いの方が顕著に現れた。この違いは流域森林の構成樹種の違いによってもたらされたものではないかと考えられた。