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一般講演 P3-017

岩礁潮間帯固着動物群集における種の多様性の緯度勾配:非ランダムなプロセスがβ多様性に及ぼす影響

*奥田武弘(北大・環境科学院),野田隆史(北大・地球環境科学研究院),熊谷直喜(千葉大・自然科学研究科),山本智子(鹿児島大・水産学部),堀正和(瀬戸内海区水産研究所),仲岡雅裕(千葉大・自然科学研究科)

地域レベルの種多様性の緯度勾配は主にβ多様性の緯度に伴う変化が反映されていると考えられているが、β多様性の緯度勾配の空間スケール変異性とその決定機構はよくわかっていない。β多様性の緯度勾配はランダム抽出プロセス(地域の種のプールからのランダムな抽出)と非ランダムプロセス(環境の異質性と分散制限)の影響を受け、その相対的な重要性は空間スケールと共に変化すると考えられる。β多様性の緯度勾配の空間スケール変異性とその決定機構を明らかにするためには、様々な空間スケールにおける2つのプロセスの相対的な重要性を明らかにする必要がある。

本研究では、岩礁潮間帯固着動物群集を対象として空間スケールを階層的に配置した調査を行い、各空間スケールのβ多様性は環境の異質性と分散制限でそれぞれどの程度説明できるのか、そしてその説明力は緯度に伴ってどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。

太平洋岸に6地域、各地域内に5海岸、各海岸内に5個の調査プロットを配置し、固着動物の存否データと被度を調査した。また、環境要因として波当たりの強さ、岩温、水温、クロロフィル量を計測した。さらに、各調査地点の緯度と経度を測定した。β多様性の緯度勾配に対する環境の異質性と分散制限の影響の強さを明らかにするために、各地域の群集組成が環境要因と空間的な位置でそれぞれどの程度説明できるのかをRDAを用いて明らかにし、さらにその説明力の大きさは緯度に伴って変化するのかどうかを明らかにした。講演にて結果とその考察を報告する。

日本生態学会