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一般講演 P3-020

落葉分解過程における河川生物群集の遷移

*森照貴, 村上正志(北大・苫小牧研究林)

河畔林から河川に供給された落葉(リター)は、主に真正細菌類・真菌類と底生動物によって分解される。このリター分解は河川における栄養塩循環を左右する重要な機能であり、分解に関与する生物の群集構造によって変化する。底生動物は、落葉とともに真正細菌類および真菌類を摂食するため、微生物の量や群集構造を変化させると考えられる。また、底生動物が微生物群集に及ぼす影響は、分解過程が進むにつれ変化すると考えられる。そこで、本研究では落葉分解過程における微生物群集と底生動物群集の遷移過程を記述し、底生動物の摂食活動が真正細菌類および真菌類の微生物群集に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

調査は北海道大学苫小牧研究林を流れる幌内川源流部で行った。ミズナラとハンノキリターを網目サイズの異なるリターバックに入れることで、底生動物の侵入を制御した。10mmメッシュのバックには微生物と底生動物が侵入できるが、0.5mmメッシュのバックには微生物のみ侵入できる。各リターバックを河川に沈水させた後、1か月間に4回に分けて回収した。リターバック中の底生動物は実体顕微鏡下で可能な限り下位の分類群まで同定を行い、計数することで群集構造を明らかにし、頭幅からバイオマスを求めた。また、リターに定着していた真正細菌類および真菌類はDGGE法により群集構造を明らかにした。さらに、直接計数法により真正細菌類のバイオマスを定量し、エルゴステロール法により真菌類のバイオマスを定量した。

これまでに行った実験から、微生物および底生動物のバイオマスは遷移が進むに連れ増加することが明らかとなった。また、樹種によって定着する微生物群集に変異がみられ、底生動物の存在によって微生物群集の遷移過程に変化が生じていたことが明らかとなった。

日本生態学会