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一般講演 P3-029

堰堤に仕切られた都市河川:賀茂川における生息場構造と魚類相の関係

*石田裕子(京大防災研),中林真人(近大農),竹門康弘(京大防災研),細谷和海(近大農)

京都市街地を流れる賀茂川と高野川は、古くから河川改修が行われ、階段状の堰堤が多く、河床材の移動や魚類の溯上を妨げている。本研究では、人為的に改変された河川における生息場構造と魚類相の関係を調べた。賀茂川には5.5km内に32基、高野川には4.2km内に17基の堰堤があり、堰堤で仕切られた範囲を1区間として、賀茂川31区間、高野川16区間で2006年6-8月に環境および魚類相の調査を行った。

両河川の平均勾配は変わらないものの、礫・砂利・砂の面積割合および砂州の植生:裸地割合は、賀茂川では53・22・5%、49:0%、高野川では26・58・10%、48:7%と、高野川の方が砂利・砂が多く、裸地砂州が多かった。2004-5年に京都市によって、賀茂川3区間、高野川7区間で中州を除去し両岸砂州を形成する河床整正が行われたが、行った区間とそうでない区間で、底質の分布および裸地・植生砂州の割合は変わらなかった。各区間における生息場類型数は両河川で差がなかったが、賀茂川ではワンド、高野川では早瀬の出現頻度が高かった。

賀茂川では21種、高野川では14種の魚類が採集および目視によって確認された。賀茂川でのみ出現した魚種はいずれも止水棲だった。出現種数は水際植生、ワンドで多かった。外来種はオオクチバス、ブルーギルで、ともに賀茂川の下流側でのみ採集された。個体数の多かった種はカワムツとカワヨシノボリであり、これらは高野川により多く生息していた。高野川では礫底面積の割合とカワヨシノボリ成魚の生息密度が正の相関を示した。また、河床整正した区間よりもしていない区間の方が礫底は多い傾向にあり、成魚の密度も高かった。高野川でカワヨシノボリが多かったのは、砂利底に礫が存在するような生息場が多いためと考えられる。

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