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一般講演 P3-034

植食者‐捕食寄生者系の群集形成に影響を及ぼす要因

*平尾聡秀,村上正志(北大・苫小牧研究林)

群集形成に影響を及ぼす要因として,潜在的な種のソースプールのサイズ,局所群集間の移入・分散率の違いや局所群集の生息地環境による種の選別,局所群集内の種間相互作用,生態的浮動が考えられる.このうち,種のソースプールが同じであっても,群集構造に大きな違いが生じることが知られており,移入・分散と環境による種の選別は,生態学的な観点から群集形成に重要なメカニズムとして注目されてきた.メタ群集では,局所群集間の移入・分散率の変化に伴って,局所群集間に個体数の過大分散,すなわち空間的自己相関に違いが生じると予想される.また,局所群集内の資源の減少は,局所群集内の個体数の低下をもたらすと考えられる.しかしながら,多くの野外研究では,群集の境界が明確ではなく,移入・分散率を直接計測することが困難であるため,これらの効果を同時に検討することは困難であった.本研究では,移入・分散の違いが局所群集間の距離に依存することを仮定し,局所群集間の距離を実験的に操作できる植林地を利用することによって,移入・分散と環境が植食者‐捕食寄生者系の群集形成に及ぼす影響を評価する.調査地は,生息場所パッチ(局所群集)となるミズナラを1m間隔(密区)と3m間隔(疎区)で100本ずつ格子状に植栽した2つの植林地(メタ群集)からなる.それぞれの植林地で各樹木上に生息するすべての植食性昆虫を採集し,飼育することによって,植食性昆虫とその捕食寄生者の種数と個体数を調査した.これらのデータから,植食者の個体数の空間相関とミズナラの葉質の効果,そして捕食寄生者の寄生率の空間相関と植食者の個体数に対する密度依存性を推定する.さらに,局所群集の空間配置が異なる2つのメタ群集間で比較することによって,これらのメカニズムの相対的重要性と種多様性との関連を議論する.

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