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一般講演 P3-035

植林地における昆虫群集多様性の階層構造

*賀勢朗子,平尾聡秀,村上正志(北大・苫小牧研究林)

近年,群集構造を決定する要因として,移入・分散の重要性が強調されている.メタ群集では,局所群集間の移入・分散率の増加が,局所群集内のα多様性の増大,そして局所群集間のβ多様性の減少,すなわち類似性の増大をもたらすことが予想される(mass effect).しかしながら,野外で実証研究を行なうためには,移入・分散率を直接計測することが困難であるという問題点がある.本研究では,移入・分散率の違いが局所群集間の距離に依存することを仮定し,局所群集間の距離を実験的に操作でき,生息場所の環境が比較的均質な植林地を利用することによって,移入・分散率の違いが局所群集内のα多様性と局所群集間のβ多様性に及ぼす効果の仮説を検証した.調査に際して,植食性昆虫とその捕食寄生者の群集を対象として,生息場所パッチ(局所群集)となるミズナラを1m間隔(密区)と3m間隔(疎区)で100本ずつ格子状に植栽した植林地(メタ群集)を2つ造成した.それぞれの植林地で各樹木上に生息するすべての植食性昆虫を採集し,飼育することによって,植食性昆虫とその捕食寄生者の種数と個体数を調査した.多様性の加法分解から,それぞれの植林地のγ多様性に対する樹木個体のα多様性と樹木個体間のβ多様性の貢献度を算出し,2つの植林地間で比較した.結果として,密区に比べて,疎区でβ多様性が大きくなる傾向が見られた.また,植食性昆虫に比べて,捕食寄生者でβ多様性の割合が大きいことが示唆された.これらの結果は,mass effectが野外において生物群集の構造化に寄与していることを示唆している.

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