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一般講演 P3-042
近年、両生類は世界的に減少してきている。日本の平野部でのカエル類の生息数の減少要因としては、圃場整備が大きく関係していると言われている。青森県津軽平野では圃場整備が進行中であるが、カエル類の生息状況は不明である。本研究では津軽平野におけるカエルの生息分布について調査を行った。
津軽地方に生息する10種のカエル類のうち、渓流にすむカジカガエルとタゴガエルを除く8種の生息分布を調べた。それらは、アズマヒキガエル(Bufo japonicus formosus) 、 ニホンアマガエル(Hyla japonica)、ヤマアカガエル(R. ornativentris)、トノサマガエル(R.nigromaculata)、 ツチガエル(R. rugosa)、 ウシガエル(R. catesbeiana)、 モリアオガエル(Rhacophorus arboreus)、 シュレーゲルアオガエル( R.schlegelii)である。夜間の鳴声による調査と、昼間の成体確認による調査とを併用した。
平野部にはニホンアマガエルが広く分布するのにトノサマガエルは局地的にしかいなかった。ニホンアマガエルは圃場整備が進んだ場所でも普通に見られ、そのような場所では他のカエル類は見られなかった。一方、トノサマガエルはむしろ人家の集落付近の水田で多く見られた。これは集落付近の水田は圃場整備が進みづらく、その結果、トノサマガエルにとって良好な生息環境が残ったためだと思われる。
溜池周辺にはウシガエルとツチガエルが多く生息している。外来種であるウシガエルは、ほとんどどの溜池でも生息が確認されたが、在来種のツチガエルはむしろ生息する池と生息しない池とが明瞭に分かれていた。
モリアオガエル、ヤマアカガエル、シュレーゲルアオガエルはいずれも山地付近に生息が限定されるが、山間の水田地帯にも見られた。