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一般講演 P3-047

森林地表性甲虫群集の緯度勾配パターン-モニタリングサイト1000の調査から-

*豊田鮎,岸本年郎(自然環境研究センター),佐藤重穂(森林総研・四国支所)

地表徘徊性甲虫の多くの種は、飛翔性に乏しく移動分散が制限されている。そのため、これらの種の生息は、ある一定の地域の環境に応じて決定されると考えられている。しかしながら、大規模な地理スケールで、甲虫群集がどのように変化するのかを検証した例はまだない。また、地表という空間における資源(デトリタス)が地表徘徊性の甲虫群集に及ぼす影響は、これまでに考慮されてこなかった。そこで本研究では、地表徘徊性甲虫群集の地理パターンおよびデトリタス資源の及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。

調査地は、日本列島の緯度勾配に沿って22地域の森林を選定した。調査地の気候帯は、亜寒帯・冷温帯・暖温帯・亜熱帯に及ぶ。それぞれの地域ごとに土壌有機物量の測定および、ピットフォールトラップ法を用いて地表徘徊性甲虫の採取を行った。甲虫の調査は、積雪期を除く5月から10月までの期間に4回行った。

地表徘徊性甲虫の種数および個体数は、低緯度地域より高緯度地域で多い傾向があり、低緯度地域における地表の土壌有機物量の少なさが生息種数および個体数の減少を引き起こす可能性が高いと考えられた。

本研究は、環境省生物多様性センターが企画運営する重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)の一環として実施され、現在も継続中である。甲虫および土壌サンプルは、九州大学北海道演習林,京都大学和歌山研究林,信州大学志賀自然教育園,森林総合研究所綾リサーチサイト,市の又試験地,小川試験地およびカヌマ沢渓畔林試験地,東京大学愛知演習林,奄美プロットおよび秩父演習林,東北大学植物園,新潟大学佐渡ステーション,北海道大学雨龍研究林および苫小牧研究林,宮崎大学田野フィールド,琉球大学与那フィールド(五十音順)によって提供されたものである。

日本生態学会