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一般講演 P3-053

釧路川源流域に注ぎ込む湧水由来の支流部における河畔植生の機能と水生昆虫相

*荻野恭子(玉川大学・農),南佳典(玉川大学・農)

河畔植生は日射遮断,倒流木の供給などによって水生動物や河川地形に多大な影響を与えている.本研究では,ほとんど調査が行われていない釧路川上流部における湧水由来の支流部で,水深や河床材料などの河川の物理的環境が群集構造を決める主要因となっている水生昆虫と,河畔植生の機能の中でも,河川の物理的環境に影響を与えている倒流木と水生昆虫の餌となるリターの関係に着目し,水生昆虫の多様性と河畔植生の機能について議論した.湧水由来の支流と支流が合流する前後と合流地点に各1ヶ所調査区を設置した.各調査区の周辺環境と河川環境を知るために,河畔植生,河川環境および倒流木を調査し,倒流木がありリターが堆積している場所と倒流木がなくリターが堆積していない場所で水生昆虫を採取した.各調査区の河川環境と水生昆虫群集を比較するために多変量解析を行った.TWINSPANによって水生昆虫相は4つの群集グループに類型化され,主成分分析の結果では,河川の物理的環境と相関を示す第1主成分,倒流木およびリター量と相関を示す第2主成分が水生昆虫の類型化と対応することが理解された.倒流木とリターの間には正の相関があり,水生昆虫の個体数と倒流木,リター量との間にも正の相関が認められた.倒流木とリター量は水生昆虫群集の量的・質的な環境要因となっていること,倒流木とリター量の間には正の相関があることがわかった.倒流木が供給されることは多様な河川環境を提供することにもなり,水生昆虫の多様化には自然状態に近い河畔植生が周辺環境に存在することや,倒流木の供給のためにある程度の撹乱が必要だと考えられた.

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