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一般講演 P3-085

糞分析による滋賀県近江八幡市奥島山におけるニホンイノシシの食性

*萩原久子(滋賀県立大学大学院),石庭孫義,山中成元(滋賀県農業技術振興センター),近雅博,野間直彦(滋賀県立大学)

ニホンイノシシSus scrofa leucomystaxは本州、四国、九州、淡路島に広く分布している。近年、中山間地域を中心に農作物被害など深刻な問題を引き起こしている。調査地である滋賀県近江八幡市においても農作物被害が発生しており、様々な防除対策が実施されている。本研究は滋賀県近江八幡市奥島山に棲息するイノシシの食性の季節変化を糞分析により明らかにすることを目的とした。また、イノシシの食性に季節変化を生じさせる要因として落下果実量の季節変化に着目し、食性との関係を明らかにすることを目的とした。

2006年1月から12月にかけて調査地において採集した糞を2mm目のふるい上で流水洗浄し、残渣を10の食物項目(植物地上部、植物地下部、堅果、堅果以外の果実、タケノコ、イネ、木質、シダ・コケ類、動物質、その他)に分類した。そして、各項目ごとに乾重量率を算出した。落下果実量の調査は2006年6月から12月にかけて調査地内に生育するヤマモモ、ナツハゼ、コナラ、アラカシ、コジイ、クリ、ヒサカキ、ソヨゴの8種を対象として行った。各種、調査地内において3〜5個体を選出し、各個体にシードトラップ(開口部面積0.5平方メートル)を1台設置した。そして、シードトラップの内容物を2週間間隔で回収し、乾重量を計測した。

その結果、奥島山に棲息するイノシシは他の地域と同様に植物食に非常に偏った食性を示した。1〜3月にかけては堅果を主に採食し、3〜5月にかけてはタケノコ、7・9月はヤマモモ、10〜11月にかけてはイネ、11〜12月にかけては堅果を主に採食していた。食性と落下果実量の関係については現在、解析中である。

日本生態学会