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一般講演 P3-099
落葉広葉樹二次林の下層において共存する低木のコバノミツバツツジ、モチツツジを対象に、ギャップと閉鎖林冠下での個体の光獲得戦略の違いを、当年枝の形態・葉のフェノロジーの2つの面から明らかにし、2樹種について比較した。
当年枝の形態に関して、モチツツジではギャップ個体の方が林内個体よりシュート長当たり葉面積、シュート長当たり着葉数、平均個葉面積が小さく、相対的に軸に資源を多く配分したのに対し、コバノミツバツツジでは違いがみられなかった。モチツツジは軸の長さや葉面積への資源配分を光環境に応じて変えることにより、当年枝の形態を変化させていると考えられる。
フェノロジーに関しては、コバノミツバツツジにおいて、ギャップ個体の方が林内個体より当年枝成長の終了時期が遅く、長枝の方が短枝より当年枝成長の終了及び落葉開始が遅いことが示された。またシュート長当たりの葉面積が最大となる時期は、ギャップ個体より林内個体が早かった。一方、モチツツジではこのような違いはみられなかった。コバノミツバツツジは春先に素早く光を獲得するために、光環境に応じて開葉・落葉のパターンや葉・軸への資源配分のタイミングを変化させていると考えられる。
以上から、コバノミツバツツジでは葉のフェノロジーという時間的な光獲得戦略で、モチツツジでは当年枝の形態という空間的な戦略における当年枝の可塑性が高いことが明らかになった。このような光獲得戦略の時空間的な違いにより、両樹種は落葉広葉樹二次林の下層で共存していると考えられる。