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一般講演 P3-104

コナラ樹冠の枝葉の定常クラスターの構造解析と分枝構造のシミュレーション

*隅田明洋(北海道大学),梅木清(千葉大学大学院),高井優理(岐阜大学)

樹冠サイズが拡大する空間的余地のない閉鎖林冠では、樹冠の発達は定常葉群クラスター(stable foliage cluster、以下「定常FC」)の生成により維持されると考えられる。定常FCは数年分の年枝軸により成る枝葉の塊で、客観的に定義可能である。林冠に達したコナラ樹冠の中央部で採取したFC(枝葉の塊)から当年生シュートの発生・枯死に関するパラメタを推定し、分枝構造の解析を行った結果、樹冠部の定常FCは数年の回転時間をもち、一つのFC内の葉面積も分枝構造を保ったまま定常状態になることをモデルで再現した(Sumida & Takai 2003)。本研究は、このモデル(FCモデル)でシミュレートした定常FCを樹木・森林構造発達のシミュレーションに利用することを最終目的とする。本発表では定常FCの諸性質に関する解析結果を報告する。樹冠先端部でサンプルしたFCの当年生シュート数や葉面積はサンプルしたFC間で数倍の差があったが、FCあたりの枝分岐率はどのFCも年枝軸あたり3前後、回転時間は5年程度であった。このことは、枝の局所的な物理的・生物的条件に応じてFC当たりの当年生シュート数や葉量が変わっても、FCの分枝率や回転率はFC間で大きく違わないことを示している。しかし、モデルにより再現した定常FCの当年生シュート数や葉面積はサンプルしたFCの1/2程度だった。その理由として、現実のFCには分枝の規則に従わない不規則な枝の発生が起こっており、これが実際のFCの当年生シュート数や葉面積がモデル上のFCよりも大きかった理由の一つと考えられた。また、ある年齢の枝軸の枯死がその先端のすべての0年生シュートの枯死によって生ずると仮定すると、年枝軸の枯死率は0年生シュートよりも1〜2年生の枝の塊でもっとも高くなることがモデルにより明らかになった。

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