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一般講演 P3-107

時間的に不均質な水分供給が植物個体群の成長におよぼす影響

*萩原陽介, 可知直毅, 鈴木準一郎(首都大・生命)

水分供給の時間的不均質性、すなわち給水頻度の違いが植物個体の成長におよぼす影響は栄養塩量によって変化することが示唆されている。野外で植物は個体群を形成して生育するにも関わらず、個体群に対する給水頻度の効果の検討はほとんどなされていない。そこで、植物個体群の成長に対する給水頻度の影響が土壌栄養塩量によって変化するという仮説を栽培実験により検討した。富栄養下では、水の利用性が植物の成長を律速するため、水の利用機会が多い高頻度の給水で低頻度の給水よりも収量は大きくなると考えられる。貧栄養下では、栄養塩量が植物の成長を律速するため、給水頻度間で収量に差が生じないと考えられる。植物個体群の地上部に対する地下部の重量は、栄養塩量が規定するため、給水頻度間で差が生じないと予想される。

シソ(Perilla frutescens)を材料とし、6号鉢で6個体栽培した。高頻度、中頻度、低頻度の3給水条件を設定した。頻度によらず、実験期間全体で供給する水分量は一定とした。栄養塩量は4条件設定した。6週間の給水処理後、刈取りをおこなった。鉢ごとの収量に対する、給水頻度と栄養塩量の効果を2要因乱塊法にもとづく分散分析により解析した。また、地上部と地下部重量の関係に対する給水頻度と栄養塩量の効果を共分散分析により解析した。

収量は栄養塩量条件によらず高頻度給水条件で有意に大きかった。地上部に対する地下部の重量は貧栄養条件で有意に大きく、また高頻度給水条件で大きい傾向があった。

以上から、栄養塩量の違いによらず、高頻度の給水は植物個体群の収量と地上部に対する地下部の重量を増す傾向があり、給水頻度が個体群の成長にあたえる効果に対する栄養塩量の影響は個体に対する影響と異なる可能性がある。

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