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一般講演 P3-123

採草地におけるアカクローバの個体群動態に及ぼす個体配置の影響

*平田聡之,青柳由希子,山田敏彦(北大FSC)

地上植物の生活様式は、個体の近傍の環境に強く依存し、個体の空間分布が個体群動態に大きな影響を及ぼすことが明らかとなっている。本報告では、草地におけるアカクローバの個体群動態について、播種板による個体配置の制御および格子による局所的な密度処理(地上3cm)の変更を加えることにより、個体配置と生活様式および生存率の関連について検討した。調査した草地は、2004年9月4日に北海道大学生物生産研究農場に播種したアカクローバー・チモシー混播草地(年2回刈り)である。試験には、アカクローバ「ホクセキ」を供し、播種板の播種孔間距離で3水準(5cm.7.07cm,10cm)および試験区内のクラスター配置で3水準(規則配置、ランダム配置、全面配置(播種孔間の距離10cmの時のみ))の組み合わせからなる播種密度が等しく、空間分布の異なる5処理の試験区(各試験区は1m×1m、播種100地点、チモシーは2.0g/m2の播種密度で散播)を5反復の乱塊法で設置した。更に2005年8月に、3cmの台をつけた50cm×50cm・5cm角の金網を各試験あたり2枚設置し、局所的な密度条件を変更した。播種後1ヶ月目の出芽調査では、25試験区のうち、21の試験区で期待された100地点のうち90地点以上の実生の定着が確認され、各地点あたりの出芽個体数の平均値は2.94個体/地点であった。越冬後の2005年6月における1番草では、個体サイズが播種距離間で異なり、播種距離間が大きいほど乾物重および開花頭花数が増加する傾向が認められたが、その傾向はその後減少し、2006年8月の2番草では、播種距離間による差異が認められなかった。金網による局所密度処理では、2006年1番草では差異が認められなかったが、2番草では、密度処理を行った区で乾物重および頭花の乾物重割合が増加する傾向が認められた。

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