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一般講演 P3-131
森林におけるツル植物の種組成や地上部構造への寄与を評価するためには、空間分布パターンと、分布パターンに影響する要因を知ることが重要である。本研究では、沖縄島北部の亜熱帯性常緑広葉樹林において、ツル植物の空間分布を調査し、分布パターンと地形要因との関係について考察した。
調査は、琉球大学農学部附属与那フィールドで行った。与那フィールド内の一支流域(約16 ha)の範囲において、直径2 cm以上のツル植物の種名を記録し、直径を測定した。また、GPS(Geko 201, GARMIN)とレーザー距離計(Laser Ace 300, Gisupply)を用いて、個体の位置を測量した。地形データは、2万5千分の1の等高線図(日本測地系(Tokyo))より作成した10 mグリッドデータを、日本直角座標系(JGD2000)25 mグリッドに変換したものを用いた。空間分布に影響する地形パラメータとして、グリッドの傾斜量(度)、傾斜方位(度)、地上開度、地下開度を使用した。
出現種全体で見ると、個体数は尾根部で少なく、谷部にかけて増加する傾向が見られた。単位面積あたりの種数も、尾根部で少なく、谷に向けて増加する傾向が見られた。種別に見ると、ハナガサノキ(Morinda umbellate L.)が最も出現頻度が高く、尾根から谷にかけて広く分布する傾向が見られた。その他の種では谷を好んで分布する種が多く、例えば、比較的個体数の多かったナシカズラ(Actinidia rufa (S. & K.) Planch. ex Miq.)やイルカンダ(Mucuna macrocarpa Wall.)は、ほぼ谷部にのみ分布していた。また、谷に多く分布する種の中でも、谷沿いに広く分布する種や、谷の中でも局所的に分布する種など、種によって違いが見られた。