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一般講演 P3-146

外来サケ科魚類が分布しやすい環境とは?

山本俊昭(日獣大)・中川雅章(酪農大)・北西滋(北大)

外来種は、在来種の絶滅と共に生物多様性の消失の大きな原因となっていることから、保護管理施策を確立することが急務となっている。河川生態系においては、外来サケ科魚類であるニジマスが放流されており、生態系への影響が多数報告されている。しかしながら、放流された全ての河川でニジマスは定着しておらず、分布を制限する条件が考えられる。そこで本研究では、ニジマスに侵入されやすい河川の特性を明らかにすることを目的とした。調査は、北海道中西部に位置する厚田川で行った。本河川は、河川形態が異なる支流が発達しており(調査対象として24支流)、ニジマスが侵入した支流(10支流)と侵入していない支流(14支流)があることから、ニジマスの分布を制限する要因を特定するのに適した場所である。調査方法は、2万分の1の地図を用いて各支流の河床勾配・流域面積および標高を算出し、どのような要因がニジマスの分布と関係しているのかをロジスティック重回帰分析を用いて解析した。その結果、ニジマスは標高が低く、河床勾配が緩い場所に侵入しやすい傾向が認められた。河床勾配は、ニジマスの分布制限要因となっていることがこれまでの研究でも知られており、同様の傾向が本調査でも明らかになった。一方、標高は水温と関係していることから、水温の低い場所では侵入が難しいことが考えられた。しかしながら、水温がより低いとされる緯度の高い河川でもニジマスは生息していることから、生物的要因としてサクラマスとの種間関係を検討した。その結果、標高が高い場所ほどサクラマスの産卵床数が多いことが明らかになった。このことから、在来サケ科魚類がニジマスの分布制限要因の一つになっている可能性が考えられた。

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