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一般講演 P3-149

個体群変動モデルによる外来魚の繁殖阻止および非繁殖魚除去の努力量とその抑制効果

安部倉完,堀道雄(京大・理),竹門康弘(京大・防災)

2005年より外来生物法が施行され、在来生物群集の復元を目的とした外来生物除去が各地で行われるようになった。しかし、外来魚の個体群動態に基づいた抑制手法は十分に確立しているとはいえない。京都市深泥池(面積約9ha,周囲約1km)は、北方系と南方系の多様な動植物が共存するため天然記念物に指定されているが、外来魚の侵入によってその生物群集は大きく変わってしまった。このため、深泥池では1998年からブルーギルとオオクチバスを対象とした外来魚対策事業を実施している。本研究では、ブルーギルの除去努力量と個体群抑制との関係について、密度効果を加味した個体群動態モデルを用いて予測するとともに、年齢群ごとの抑制効果を検証した。深泥池では、この予測と検証に基づき捕獲努力量を調節することによって、順応的な外来魚対策を継続している。その結果、1998年に9,545尾だったブルーギル個体群は,2006年には210尾まで減少し、駆除開始から9年目にしてようやく個体群の根絶を検討する段階に達した。将来の個体数変動と絶滅率をシミュレーションした結果、2006年レベルの駆除努力を継続すれば、2009年には37尾に減少し、2011年には絶滅確率が50%を越えると予測された。また、 500尾以下の低密度下では繁殖阻止の効果が大きく、4年連続で全産卵床を破壊しなければ根絶が難しいことがわかった。そこで、2007年度には、刺し網で産卵場所を囲い込む手法や人工産卵床の導入によって、ブルーギルの繁殖を徹底的に阻止する予定である。産卵床破壊率を95-100%と仮定した場合、2008年の個体数予測値は107尾、2009年の個体数予測値は20尾となり、2012年には90%以上の確率で根絶が可能となる。

日本生態学会