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一般講演 P3-152

外来植物による繁殖干渉が在来種を駆逐する-タンポポ、オナモミ、センダングサ-

高倉耕一(大阪市環科研)

繁殖干渉とはある生物種の繁殖活動が他種の繁殖成功を直接的に低下させる現象のことである。これまでの理論研究によれば、繁殖干渉は通常の資源競争よりも強力に近縁種を排除することが予想されている。しかし、野外での生物の空間分布や競争関係について、繁殖干渉の効果に注目した研究はまだ少なく、特に外来種が在来種を駆逐するメカニズムとしてはほとんど注目されてこなかった。

演者は第53回大会の講演で、在来種カンサイタンポポの結実率が外来タンポポの花の存在によって低下することを野外実験から検証した成果を報告した。今回の研究では、室内における人工授粉実験によって、在来タンポポの結実率低下の直接的な要因が外来タンポポの花粉であることを明らかにしたので、その結果について報告する。

さらに、近縁種間における繁殖干渉が普遍的な現象であるならば、他の分類群でも在来種の衰退を外来種による繁殖干渉によって説明出来るかもしれない。例えば、在来種のセンダングサやオナモミはあまり見かけなくなってしまった一方で、同属の外来種はそれぞれ複数種が侵入しており、どれも比較的ありふれた植物になっている。また、その外来種の中でも近縁種が同所的に生育していることは稀である。そこで、入手が困難な在来種を用いる前の予備実験として、オオオナモミとイガオナモミ、コセンダングサとアメリカセンダングサという外来近縁種間において繁殖干渉の存在を検証した。その結果、この2つのペアでも繁殖干渉が存在していることが明らかになった。

今回の講演ではこれらの結果についても報告し、繁殖干渉の普遍性や、在来種−外来種の関係における繁殖干渉の意味、現在の外来種の分布を説明する要因としての繁殖干渉などについて議論する。

日本生態学会