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一般講演 P3-166

茨城県小貝川におけるオオブタクサ・アレチウリの侵入が種組成に及ぼす影響

*川田清和(農業環境技術研究所),土方直美(筑波大学),中村徹(筑波大学),池田浩明(農業環境技術研究所)

オオブタクサ(Ambrosia trifida)とアレチウリ(Sicyos angulatus)は,北米原産の一年生草本植物で侵略的外来植物として知られている.小貝川には絶滅危惧植物が多く分布しており,侵略的外来植物の侵入が在来植物に及ぼす影響の解明が急務とされている.前回の報告では,オオブタクサとアレチウリの相対被度と在来種の出現種数との関係がそれぞれで異なることを示した.今回は,クラスター分析によってオオブタクサとアレチウリが侵入する群落の種組成を把握し,侵略的外来植物と在来植物の相対被度の関係について報告する.

茨城県伊奈町(つくばみらい市)から茨城県下妻市までの小貝川11地点において52個の調査枠(3×3m)を設置し,植生調査を行った.枠内に存在する植物種を全て記載し,種ごとの被度を測定した.

調査地に出現した植物種数は110種(在来種89種・外来種15種・不明種6種)であった.得られた52個の植生調査資料をクラスター分析したところ,6つの群落タイプにまとめられ,アレチウリのみを指標種とする群落とオオブタクサとツボスミレを指標種とする群落が含まれた.とくにオオブタクサを指標種とする群落は最も出現種数が多かった.また,オオブタクサの相対被度と正の相関関係があり出現頻度の高い在来種はツボスミレ(n = 8, p < 0.01)で,負の相関関係にあった在来種はヘビイチゴ(n = 8, p < 0.05)であった.一方,アレチウリの相対被度と正の相関関係を示す在来種は認められず,負の相関関係にあった在来種はカナムグラ(n = 16, p < 0.01)であった.このような種間関係の変化が,群落タイプの分化に関与していると考えられた.

日本生態学会