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一般講演 P3-169

個体群動態予測モデルを用いた外来種カミツキガメの駆除戦略

*小林頼太(東大・農・生物多様性),長谷川雅美(東邦大・理・生物),宮下 直(東大・農・生物多様性)

外来生物を管理する場合,それにかかるコストは管理対策を決定するうえで重要な要因のひとつである.特に根絶や低密度での管理を目標にする場合,目標達成までにかかる期間や費用の見通しが望まれる.個体群動態モデルは,こうしたコストを計算する上で大きな役割を果たすと思われる.

カミツキガメは北米東部および中米,南米の一部を原産とするカメであり,日本ではペットとして大量に輸入されてきた.2005年6月施行の外来生物法では,特定外来生物に指定され,輸入及び飼育,移動などに制限が設けられた.しかし,法施行後も全国各地の野外から本種の発見が続いており,その数は近年増加傾向にある.これまでに定着が確認された地域は少ないが,寿命が長く,違法飼育個体も多数存在するとみられるから,今後もしばらくは野外への逸出は続き,定着リスクはすぐには減少しないと見られる.

本研究は,すでに繁殖が明らかな千葉県印旛沼周辺の個体群をモデルケースとして,齢構造モデルによる個体群動態の予測を行った.卵の生存率,繁殖開始齢などの各パラメータは,基本的に印旛沼個体群から得られた値を用い,それらに確率な変動を加えた.また,密度低下による捕獲効率減少などを考慮し,駆除頻度を変えた複数のシナリオとそれに必要なコストの観点から今後の駆除戦略について検討を行った.

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