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一般講演 P3-173
三宅島では2000年の雄山の噴火活動により植生が大きな被害を受けた。そこで、土石流発生などの災害の対策として緑化が必要とされている。「三宅島緑化ガイドライン」では島の生態系の攪乱を防ぐため、緑化には島内の在来植物を優先的に用いることが定められている。しかし、急速緑化が必要な箇所では外来種の使用が認められている。本研究では三宅島における外来種を用いた緑化施工地の植生の現状を明らかにすることを目的とした。
噴火後に建設された砂防ダム上部と周辺の法面のうち、イネ科草本種を用いた緑化が行われたと判断できる地点を対象に2006年の7月と8月に調査を行った。24基の砂防ダムについて法面19地点、ダム上部15地点の計34地点に2m×2mの調査区を設置し、植物社会学的調査方法に基づく植生調査を行った。
出現した10種の緑化用イネ科草本種を緑化種として1種にまとめて、TWINSPAN解析を行った。レベル1の分割では遷移が進行している調査区AB(14地点)と、緑化種が優占している調査区CD(20地点)に分類された。レベル2の分割では亜高木層の成立している調査区Aと成立していないBに、メドハギ・ツユクサの出現した調査区Dと出現しなかった調査区Cに分類された。さらにCはレベル3の分割でハチジョウススキ・オオバヤシャブシが出現した調査区C1と出現しなかった調査区C2に分けられた。火山ガス低濃度地域では施工後経過年数が1年の調査区がC2とD、2年以上がB、4年以上がAに分類され、年数経過と共に出現種数の増加・木本層の発達・緑化種の衰退がみられた。一方、火山ガス高濃度地域の調査区は経過年数に関わらずC1とC2に分類され、年数経過による変化より火山ガスの影響が強いと考えられる。