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一般講演 P3-176

両生類の年齢査定について(仮)

*高井 孝太郎,岩熊 敏夫(北大院 環境)

両生類では、性成熟は年齢ではなく、体サイズにより決まる。個体が繁殖を行うには、早く繁殖可能な体サイズになることが重要である。個体の成長は、多くの要因に左右される。その中でも温度が個体成長に与える影響は大きい。熱帯に生息する種では、早い種では8ヶ月で性成熟を迎える。一方、温帯の種では性成熟に4年から6年かかってしまう。同種間でも、高地に生息する個体は、低地に生息する個体より性成熟するのに4年遅れることが報告されている。また、寒冷地では、活動できる期間も限られてしまうため、繁殖や成長に費やせる時間も限られる。そのため種の繁栄には温度とそれに対する成長速度が関係していると考えられる。

トノサマガエルは、国内では関東を除く本州に分布する種である。環境省のRDBには記載はないが一部の地域では姿を消しつつある種ある。IUCNのレッドリストでは、準絶滅危惧種となっている。北海道では、95年に侵入が確認されて以来、分布を拡大している。

2005年での調査地(平均気温6.7度)における本種は、繁殖期が6月から7月中旬、活動期間が6月から10月上旬であった。雄の二次的性徴は体長約3.5cmの個体に確認できた。Khonsue ら(2001)によると、繁殖期は4月下旬から5月中旬(2週間)、活動期間は少なくとも4月下旬から10月上旬と考えられる。性成熟は2歳(体サイズ約5cm)であった。北海道では、本州での繁殖期より遅く、活動期間は短い。また、性成熟する体サイズは小さい。このことから、トノサマガエルは寒冷地では性成熟に達する体サイズを小さし、早く繁殖に参加することを可能とし、繁殖期間を延ばすことにより繁殖成功率を高めていることが示唆される。

本発表では、北海道に生息するトノサマガエルの繁殖期間、活動期間、成長速度と本州における過去の研究を比較し、両生類の繁殖戦略について考察する。

日本生態学会