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一般講演 P3-179

外来植物の侵略性への人為的撹乱の影響

Ohigashi,K(NIAES),Kusumoto,Y(NIAES),Yamamoto,Y(NIAES)

外来植物が、農業利用や造成などの人為的撹乱の影響を受けてその侵襲性を増すことは、我が国に限らず、各国で報告されている。しかしながら実際に人為的撹乱が大きい地点における外来植物の分布状況に関する包括的な報告はまだ少ないのが現状である。本研究では2006年11月に利根川流域の32地区(1km×1kmメッシュ)の畑地・放棄畑地において1地区でランダムに3筆選定し、1m×1mのコドラート調査を10地点設定(N=283)し、植生調査を行った。2003年7月に同地区において行った水田・放棄水田・畦畔・のり面草地・森林の植生データ(N=761)と統合し、各調査地点における帰化率、生活形比率、散布形式、多様性指数などに関して解析を行った。

その結果、自然度の高い植物相においては、出現する外来植物種はセイタカアワダチソウ、ヒメジョオンなどと種類も限られ、優占度も低く、在来種を阻害している様子はなかった。一方、耕作放棄地等の人為的撹乱を強度に受けている箇所においては相対被度での一年生草本率が高いものが多かったが、放棄後3年以上経過していると思われる調査地で優占的に生育している外来種はセイタカアワダチソウ以外の出現頻度は在来植生であるクズ、ヨモギ、ススキ等に比して低かった。強度の撹乱を受けた後に回復したと推定される在来植物優占群落においては、半自然草地等の自然度の高い草地に比して多様性が非常に貧困な群落となっている傾向が見られた。

日本生態学会