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一般講演 P3-223
自然環境保全基礎調査(通称、緑の国勢調査)のデータを用いて、繁殖鳥類の生息分布を予測した。鳥類生息分布調査は、日本全国の3次メッシュの約4%弱をカバーしているにすぎない。調査した3次メッシュの1.5%以上で観察された繁殖鳥類77種を解析し、ロジスティック回帰モデルによって生息ハビタット推定分布モデルを作成した。各種の生息確認の有無の2値データを従属変数とし、3次メッシュの標高、傾斜、および、3次メッシュ内の各植生(市街地、畑地、水田、果樹園、休耕田、ゴルフ場、2次草地、単子葉草原、広葉草原、ヨシ原、2次林、松林、竹林、落葉広葉樹林、照葉樹林、針葉樹植林、海岸植生、伐採地、裸地、開水面)の面積を説明変数としてステップワイズ法で変数の取捨選択を行ってロジスティック回帰モデルで生息予測モデルを構築した。今回は、解析メッシュの解像度と解析範囲がモデルのパフォーマンスに与える影響が種ごとにどのように変化するかを解析した。スズメ目鳥類の小鳥類では1kmメッシュの解像度でのモデルが、猛禽類では5kmスケールの解像度のモデルが、サギ類では10kmメッシュスケールの解像度のモデルが最も良いパフォーマンスを示し、対象種の行動圏スケールに合わせた解像度のハビタットモデルが最適であると考えられた。いっぽう、モデルの作成範囲が広がるにつれて、ハビタットのモデルのパフォーマンスは低下し、地域スケールのモデルが最適になると予想された。