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一般講演 P3-230
近年、地理情報システム (GIS) を用いて様々な生物の生息環境を評価しようという研究が数多くなされるようになってきた。これらの研究は地域の生物多様性維持に大いに貢献するものであると言える。しかし、そのような生物生息環境評価のための環境情報は必ずしも十分に整備されているとは言えない。多くの研究では、環境省作成の現存植生図の情報が利用されているが、図の更新間隔が長く、適当な時点の情報が利用できるとは限らない。そのため、これを代替ないし補完する面的な環境情報の必要性は大きい。そこで本研究では、日本の自然環境と生物相を踏まえた環境情報図の作成とその凡例の提案を目的とした。
事例対象として栃木県市貝町を選定した。市貝町の農村地域には、サシバが非常に高密度に生息しており、良好な二次自然が維持されていることが知られている。環境情報図の作成は、まず空中写真による区分を行い、次に現地調査によって詳細に区分することとした。常緑樹と落葉樹の区分がしやすい冬季撮影の空中写真を採用した。現地調査は、2006年5月より10ヶ月間、断続的に複数回実施した。詳細な凡例と作成した地図は、ポスターにおいて紹介する予定であるが、現存植生図や土地利用図にはない工夫として、水田の乾湿程度、二次林の林床管理の程度、コンクリート護岸やU字溝など生物の移動を妨げる要素、季節的に生じる自然細流を含む水系などを把握し、地図化した。なお、本研究は日本生態学会の推薦を受け、鹿島学術振興財団の研究助成(代表者一ノ瀬友博)を受けている。