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一般講演 P3-235
阿万吹上浜は、淡路島の南端(兵庫県南淡町)に位置し、近畿地方における特定植物群落としての指定も受けており、瀬戸内海沿岸域において未だに良好な海浜植生が残存している地域といえる。本研究では、第二室戸台風以降40年ぶりに発生した大規模攪乱が、攪乱依存型植生である海浜植物群落の持続的な成立に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、2004年10月に淡路島を直撃した台風23号通過後の植生回復状況を把握した。
調査対象地は、阿万吹上浜の汀線部から2mを越える木本が初めて生じる地点の海側、もしくは、堤防の際部分とし、浜の西側から東側に向かって約100m間隔で、line01〜line14の14本の幅2mのベルトライントランセクト(内陸から汀線に向かって南方向)を2001年11月10日に設置した。その後、台風通過前の2001年11月、台風通過直後の2004年11月、台風通過2年後の2006年11月に、各トランセクトの砂浜の地形横断を水準測量により測量するとともに、トランセクト内に出現した植物種とその植被率について調査を実施した。調査結果は、TWINSPAN法により類型化するとともに、DCA法により各ベルトトランセクトを序列化した。
調査の結果、浜の周辺に位置するトランセクトでは、海浜植物種の増減は見られなかった。しかし、浜の中央部(line04〜10)では、台風による砂の移動によって、それらは一時的に全てが消失したものの、2006年11月には、実生もしくは地下茎の断片からの再生によって、ハマゴウ、コウボウムギ、ハマダイコン、ハマヒルガオ、ハマボウフウ、オニシバ、ビロードテンツキ、ハマニガナなどの海浜植物が植生回復していることが明らかになった。