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公募シンポジウム S02

花粉一粒の直接遺伝解析から見えるもの

企画者:井鷺裕司(京都大学大学院農学研究科)

 花粉は植物の繁殖過程においてきわめて重要な役割を担っている。減数分裂を経て形成される個々の小さな花粉粒は、サンプルに含まれる解析対象DNAの少なさという点では究極的なものといえるが、分子生物学的手法を用いれば個々の花粉粒から遺伝情報を引き出すことができる。花粉一粒に含まれる遺伝情報からどのような事が見えてくるのだろうか?

 本シンポジウムでは、これまで生態学の分野では、ほとんどなされてこなかった花粉1粒を対象とした遺伝解析を行い、植物の繁殖過程としてきわめて重要な意味を持つ送受粉の実態を明らかにしつつある研究者を集め、この手法が植物の繁殖生態学研究にもたらしうるブレークスルーについて紹介する。

 更に、減数分裂を経て形成される花粉粒中には同一コピーの核遺伝子のみが存在するという特徴を利用すれば、花粉一粒の遺伝解析は、連鎖解析、ヘテロ個体の核ゲノムシーケンス、雑種起源分類群の系統解析等にも幅広い応用が考えられる。本シンポジウムでは、これらの研究アプローチに関しても将来展望も含めて紹介・議論する。

コメンテーター:加藤 真(京都大院・人間環境), 柴田銃江(森林総研)

日本生態学会