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公募シンポジウム講演 S13-1

日本のチョウ類の衰亡と現状

中村康弘(日本チョウ類保全協会)

現在、多くのチョウ類が絶滅の危機に瀕しており、環境省のレッドデータブックには、約4分の1ものチョウ類が掲載されている。中でも草原に生息するチョウ類の減少が顕著であり、オオウラギンヒョウモン(市町村単位の減少率96%)、ヒョウモンモドキ(同95%)などはもっとも減少した例である。

チョウ類を保全するにあたり、日本で1ヶ所保全できれば良いわけではなく、その目標として、地域個体群レベルであることがより望ましい。そこで、都道府県発行のレッドデータブックなどから、都道府県別の個体群の状況をみると、約200もの地域個体群が危機的な状況にある。

しかしながら、実際に保全対策が行われているのはわずかであるため、チョウ類を地域個体群レベルで保全していくためには、緊急に大規模な保全の体制を取っていく必要がある。

日本チョウ類保全協会は、上記の視点に立って、全国規模でチョウ類の保全を推進するため、2004年6月に設立された。各地域でのチョウ類の調査・保全事業を行っているほか、広報・啓発、活動のアドバイス等も行っている。その中で、各地域で行われている保全活動の現状などが集約され、また全国的に見ても保全活動が急速に進みつつある。

しかし、それぞれ地域を巻き込んで活動を展開している場合が多いことから、活動が比較的良好に進行していく場合もある一方、大きな問題を抱えている場合も多い。また、保全に着手することが遅かった場合もあり、絶滅寸前にまで追い込まれている状況の場所もある。このように、保全対策を行う段階となっても、実際には、多くの課題が山積しており、チョウ類を保全していくことは容易ではない。

今回の発表では、チョウ類の衰亡の状況および現状、ならびに保全活動の現状および問題点を取り上げたい。

日本生態学会