チョウ類とその生息環境の保全活動を行うにあたっては、関連する法律や条例の理解と活用が必要となる。チョウ類については、文化財保護法や文化財保護条例などによる天然記念物指定も多いが、天然記念物指定だけでは不十分で、特に「地域を定めない種指定」については、弊害も多いという指摘が以前からなされている。また、文化財保護法が禁じている「現状変更の禁止」の範囲については法解釈が分かれると思われるところもあり、地方自治体による条例の内容も、少しずつ異なっている。そこで、チョウ類やその生息環境の保全に関わる条例を制定している自治体に、条例の内容や適用範囲、自治体として行っている保全に関する施策や、問題点などについてアンケート調査を行った。本講演では、その結果を紹介すると共に、チョウ類とその生息環境の保全にあたって法律や条例を制定あるいは活用する場合の問題点などを指摘する。