| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T11 -- 3月18日15:15-17:15 A会場

伊豆諸島の生物地理と生物間相互作用

企画者: 水澤玲子, 阿部晴恵, 長谷川雅美

地球上には無数の島があり、それぞれ形、大きさ、隔離の程度や生態系など多種多様である。そのため島は進化仮説の検証研究において、十分な繰り返しを得ることのできる天然の実験場として古くから重宝されてきた。しかし、大陸地殻そのものがプレート運動による海洋島・海底堆積物の付加作用によって形成されたことを考えれば、島における生物進化は単なる局所的ケーススタディ以上の意味を持つと考えられる。さらに近年の分子系統学的アプローチから、島から大陸へのリバースコロナイゼーションが思いのほか頻繁に生じていることが明らかになり始めたことで、「島における生物進化は大陸の生物相に影響しうる重要な現象である」という認識が広がりつつある。

伊豆諸島は太平洋プレートの沈み込み帯に沿って、フィリピン海プレート上に形成された海洋島であり、現在本州の一部となっている伊豆半島は50-70万年前にフィリピン海プレートの北上によって古伊豆諸島の一部が本州に衝突して形成されたものである。伊豆諸島で分化したあと本土に渡り戻したと考えられる動植物も報告されており、島と本土の生物群集の接触およびその後の群集動態を追及する上で貴重な観察の機会を与えてくれる。

本企画集会では伊豆諸島におけるフロラ研究からの知見、および近年の分子遺伝学的研究からの知見を紹介し、伊豆諸島をモデル系とした島嶼生態学研究の展望について議論を深めたい。

[T11-1] オカダトカゲはどこから来たのか?−Plestiodon属の系統関係から分かったこと− Matthew C. Brandley(Yale univ.)・栗山武夫(東邦大)

[T11-2] 伊豆諸島の植生とフロラ 上條隆志(筑波大)

[T11-3] 伊豆諸島産アカネズミにおけるクルミ食の島嶼間変異 武智怜奈(首都大)

[T11-4] 伊豆諸島に分布するオオシマザクラの分子系統地理 加藤珠理(森林総研)・岩田洋佳(中央農研)・津村義彦(森林総研)・向井譲(岐阜大)

[T11-5] 伊豆諸島の植物の遺伝構造 津村義彦(森林総研)


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