| 要旨トップ | ESJ61 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
シンポジウム S04 -- 3月15日 9:30-12:30 D会場
突発的事故・産業的排出ばかりでなく、日常的で気がつかない排出も含め、重金属、残留性有機汚染物質、プラスチックや微粒子などによる環境汚染はますます進行している。過去に重大な障害をもたらしたさまざまな化学物質は規制をうけているが、それに代わる、その動態や影響が未知の物質が新規開発され、使用されている。環境化学分野では、合成化学、地球化学、生物化学といった多岐にわたる立場から膨大な研究がなされている。一方、これらの物質が生物に取り込まれてからの動きは、生物濃縮の例に見るように食物連鎖の動態に左右される。汚染物質の影響は個体だけでなく群集構造をつうじても観察される。汚染レベルの計測には、さまざまな生物種がインジケーターとして使われるが、その有効性についてあいまいな点もある。
これらの問題の解決には食物網、群集構造、景観生態学といった生態学的視点が不可欠である。地球規模での海洋生態系におけるPOPs汚染、海洋のプラスチック汚染の実態と食物連鎖における動態、里山生態系におけるダイオキシンの生態影響、淡水生態系における汚染物質と生物群集の関係、について、環境化学分野と生態学分野から話題提供いただく。そのうえで、両者における理解の共通部分と隔たりを明確にし、より効果的な研究戦略を考える機会を作りたい。また、生物群集との関連、リスク評価、生物を使ったモニタリングなどについてのコメントと総合討論を予定している。
司会:関島恒夫、綿貫豊
コメンテーター:松田裕之(横浜国大)、野田隆史(北海道大学)、綿貫豊(北海道大学)
[S04-1] 生態系高次生物のPOPs汚染と曝露リスクを地球的視座からみる
[S04-2] 海洋プラスチック汚染:海洋生態系におけるプラスチックの動態と生物への影響
[S04-3] 分子指標を用いて生物の反応を捉える:ダイオキシン汚染がアカネズミ個体群に及ぼす影響
[S04-4] 野外調査で化学物質の生態リスク評価を補完する:河川中金属濃度と底生動物群集