| 要旨トップ | ESJ61 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


シンポジウム S07 -- 3月15日 9:30-12:30 G会場

熱帯雨林林冠の節足動物の群集構造と多様性はどこまで分かったか –Challenging aspects of tropical canopies: numerous diversity, complex community structure, and highly specialized interactions–

企画者: 乾陽子(大教大・教養)

熱帯雨林の林冠に生息する節足動物群集は,陸上生態系のなかで突出して多様性が高いが,林冠へのアクセスの難しさから野外研究が遅れており,群集構造の把握が大枠の分類群やギルド単位に留まる例が多い。

北ボルネオのランビルヒルズ国立公園の林内には,研究観測用の林冠アクセス施設が整備されており,詳細な野外調査が実現されてきた。節足動物群集についても,特定の種や低次分類群を専門とする研究者が多く参入し,分類学や食物網解析,生活史特性,化学生態など,多面的な解析が進みつつある。その結果,これまでにほとんど分かっていなかった植食性昆虫の種構成や特性,また食物網・相互作用網におけるアリ類の普遍的な重要性,捕食者としてのクモ類の重要性,さらに非常に特殊化した相互作用系が普遍的に見られることなどが明らかになってきた。

本企画では,こうしたランビルヒルズ国立公園の研究調査地における林冠の節足動物の群集の研究について,近年の成果を幅広く紹介する。各演者は,それぞれの専門とする分類群において明らかになった特異的な生態や生物間相互作用を詳しく紹介し,さらに多様な群集の形成維持の機構としての重要性を議論する。

また,希少な原生林を擁するランビルヒルズ国立公園において,熱帯林保全の観点からも,今後の研究の展望と優先すべき課題の検討を総合討論で行う。

[S07-1] ランビル林冠節足動物研究の概要  市岡孝朗(京大・人環)

[S07-2] 林冠節足動物群集の構造特性の解明~今回は半翅目編~  *岸本圭子, 石川忠(東大・広域), 市岡孝朗(京大・人環)

[S07-3] 樹冠のアリの巣は完全に未開の地だった  丸山宗利(九大・博物館)

[S07-4] 擬態現象を生物多様性創出・維持機構として解析する:ボルネオ熱帯雨林におけるアリ類垂直分布構造とアリグモ属のアソシエーション  *橋本佳明(兵県大・自然環境), 遠藤知二(神戸女学院・人間), 市岡孝朗, 片山元気(京大・人環), 兵藤不二夫(岡大・RCIS), 山﨑健史(鹿大・理工), 坂本広道(兵県大・環境)

[S07-5] 着生および亜高木のアリ植物に見られる共生系を維持する化学的機構  *乾陽子(大教大・教養), 田中洋, 市岡孝朗(京大・人環)

[S07-6] 兵藤不二夫(岡大・RCIS)  安定同位体が解き明かす熱帯雨林における節足動物の食性


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