| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T02 -- 3月20日 9:00-11:00 B会場
「生物の形質がどのような適応的意義を持ち,どのようなプロセスを経て進化したか」は進化生態学において解明すべき重要な課題である.そのために有効なアプローチは生物種間の比較である.「ある形質は特定の環境に生息する生物でよく見られる」,「形質Aを持つ種のほとんどが形質Bも持っている」などのパターンが見つかれば,その形質の進化を推測することができる.ただし,このような比較では系統関係を考慮しなくてはならない.なぜなら系統の近い二種は共通の祖先形質を引き継ぐことから,似た形質を持ちやすいためである.系統関係に基づき,形質の進化プロセスを解明しようとする手法は系統種間比較法(Phylogenetic Comparative Methods: PCM)と呼ばれる.PCMでは祖先形質や進化速度が推定されるのに加えて,進化プロセス(安定化選択,方向性選択,形質間の相関進化など)を表した様々なモデルを検証できる.近年急速に発展している手法であり,国際的には出版論文数も増加している.その一方で,国内学会での研究発表例や日本語での手法の解説文は限られているため,見聞の機会が少ない.本企画集会では,植物から動物まで,形態,生態,行動といった様々な形質に対しPCMを適用した事例を紹介し,この手法の可能性を議論する.
[T02-1] 系統的独立比較法から明らかになったチャルメルソウ属生態的種分化の共通メカニズム
[T02-2] 性表現の適応的な進化:フジツボ類における系統比較
[T02-3] 「高価な組織仮説」を検証する:シクリッドを使った種間比較研究の紹介
[T02-4] 直感を反映した方向性選択モデルを検証する
[T02-5] 肉食性哺乳類の長く伸びた牙:現生種と化石種における方向性選択の類似性