| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T03 -- 3月20日 9:00-11:00 D会場

Ecosystem parasitology:寄生から探る新たな群集生態学の展開

企画者: 佐藤拓哉, 片平浩孝, 鏡味麻衣子

寄生生物は自然界に普遍的に存在し,地球上の生物種の半数以上を占めるとも言われる.宿主へ巧みに取り付く彼らの生きざまは多くの研究者を魅了し,寄生によって宿主の個体群動態や,宿主と他の生物との種間関係が変化する様々な事例が示されてきた.その一方で,体サイズが小さく現存量も少ないと考えられてきたことに起因して,寄生生物が,生物群集や物質循環等の生態系機能に果たす役割は近年になるまで注目されてこなかった.しかし,2000年以降の研究により,寄生生物は現存量においても群集内で大きな割合を占める事が明らかになり,食物網の構造や動態,および生態系機能(一次生産・物質循環)を改変する可能性が指摘されている.また,環境変動に伴う寄生生物の急な増加や分布の拡大が世界各地から報告される中,生物群集の中で寄生生物の動態を制御するための群集理論が求められている.このような状況の中,生態系における寄生生物の役割を理解しようとする研究分野は “Ecosystem parasitology(生態系寄生生物学)”という名のもとに急速に発展しつつある.本企画集会では,寄生生物が食物網や共生ネットワークの構造・動態、生物多様性や生態系機能に与える影響,および食物網の中で維持される寄生生物の多様性について紹介する.それらを踏まえて,「寄生生物への注目は,群集生態学に新たな展開をもたらすのか?」という点について,主に理論的な側面から群集生態学を推し進めているコメンテーターをお招きして,議論を深めたい.

コメンテーター

瀧本 岳(東邦大・理):群集動態の中の寄生者

舞木 昭彦(島根大・生物資源):寄生生物と食物網動態の安定性

吉田丈人(東京大・総合文化):生物群集と感染症の制御

[T03-1] 寄生生物と宿主が作り出す種間相互作用と生物多様性  佐藤拓哉(神戸大院・理)

[T03-2] 見過ごされてきた動物寄生者:目立つヤツと目立たないヤツ  片平浩孝(北大・地環研)

[T03-3] 送粉者間・送粉者-植物間の相互作用に影響する寄生者の存在  石井 博(富山大・理)

[T03-4] 食物網・物質循環を駆動する寄生生物  鏡味麻衣子(東邦大・理)


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