| 要旨トップ | ESJ66 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨 ESJ66 Abstract |
シンポジウム S02 3月16日 9:30-12:30 Room D
長い歴史のある生態学領域で育まれてきた理論は、様々な学問と相互に作用することで影響を与え合いながら発展してきた。例えば、経済学分野で提案されたゲーム理論は進化生態学的に解釈されることで進化ゲーム理論へと発展し、社会科学や工学分野へと波及していった。また、個体群生態学はベイズ推定と融合を果たす事で、経時的なデータから定量的な情報を抽出し、感染症疫学やウイルスダイナミクスの分野を爆発的に加速させた。生態学的に定義された用語である”多様性”や”異質性”は、昨今、がんや免疫など生体内の研究分野において、重要なキーワードになっている。それは、次世代シーケンサーの登場により、ゲノムデータを大規模に読めるようになった事で、生体内における進化動態が理解されるようになった恩恵である。集団遺伝学および、群集生態学理論で扱われる動的アプローチを駆使できれば、バイオインフォマティクスの方法によって静的に解析される事が多かった生体内における感染者の遺伝情報を動的に利用することが可能となり、臨床的な観点からがん研究を格段に進歩させられる可能性がある。特に、新しい診断方法の提案や病態予測技術の確立などに期待できる。この生体内の生態学(within-host ecology)で新たに得られる概念は、ひるがえって個体群生態学などの生態学分野にさらなる発展をもたらすと期待できる。本シンポジウムでは、生態学と医学の両領域の専門家に講演を依頼し、一見すると無関係であった生態学研究とがん研究とをブリッジできる可能性を議論する。そして、新しい融合研究領域を立ち上げるための準備を整えて行きたい。
[S02-1]
Within-host ecologyの世界
Within-host ecology world
[S02-2]
種個体数分布の理論
Theory of Species Abundance Distributions
[S02-3]
現代と古代のRNAウイルスの多様性を探る
Diversity of modern and ancient RNA viruses
[S02-4]
ウイルスのジレンマ:ホストの内と外
Within-host or between: an evolutionary dilemma for viruses
[S02-5]
次世代DNAシークエンス技術を活用したウイルス研究
Application of next generation DNA sequencing technology for virus research
[S02-6]
HTLV-1感染細胞クローンの多様性に着目した病態進行の予測
Prediction of disease progression focused on diversity of HTLV-1-infected cell clones